副住職の「歳時記」vol.07 2021年(令和3年)12月 佛名会
伊藤 悦央
聖号十称
「今日が人生最後の日だと思って生きる」という良い言葉がありますが、中にはオーバーワーク(働ぎ過ぎ)になってしまう方もいるかもしれません。ただもっと根本的なことで、「自分もいつかは死ぬんだ」という事実から目をそらさずに生活することはとても大事です。それはなるべく悔いのない人生を歩み、生きている上で様々な災難にあった時に心の動揺をやわらげることの助けになるからです。海にさまよう船をロープで繋ぐイメージでしょうか。どんなに波のままに右へ左へと流されても、芯(信)があれば一定の距離以上に船(心)が離れることはなく、いつかは戻って来ます。離れ過ぎなければよいのです。昨今、世界的にも宗教の危険な面が目立ちますが、正しい信仰は人が生きていく大きな糧になると強く信じています。
浄土宗の教えである極楽浄土への往生は、前述した死に対する意識を超越して、明確に死後の行く先として示されています。ご多忙であろう社会生活の中で、心の片隅でも結構です。お念仏の信仰を忘れずに、力にして下さい。
至心合掌