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2023/05/31

副住職の「歳時記」vol.13 2023年(令和5年)5月 大施餓鬼会

伊藤 悦央

聖号十称

春になり生物の躍動を感じます。最近私の些細な悩みは、無数の蟻(あり)が巣から出てきて働くようになったが、彼らを巻き込まないように、境内をはき掃除するのは至難であるということ。ごみをちり取りにいれたら、そこからチマチマと一緒に入ってしまった虫たちを取り除いていく。通常の倍は時間がかかります。

この度コロナに関する規制もほぼ解除されました。思えば長い冬を越して巣から這い出してきたこの蟻たちに、例年以上に私たちと重ね合わせることができるのではないでしょうか。以前のような日常が戻ればと思う中で、「日課」があることは規則正しい生活の要素にもなります。毎日自身で決めた数の念仏を称える「日課念仏」という言葉もあり、法然上人は「数を定めそうらわねば懈怠(けたい)になりそうらえば、数を定めたるがよき事にてそうろう」と説いています。当たり前ですがこれは念仏に限る話ではないでしょう。人は怠けるものという本質は法然上人の時代から何も変わらないことに安心感のようなものを覚えると共に、その人に寄り添った教えにありがたく思います。

至心合掌